ポリリズム いやー、これは素晴らしい。
ちまたのWebやYouTubeで盛り上がっているのは知っていて、 中田ヤスタカ含めて押さえなきゃな〜 と思っていたのだが、 実にすばらしい。

いまのcapsuleもそうだけど、 ピッチ補正を強烈にかけたヴォーカルは、 もはやヴォコーダーの領域にはいっていて、 ほぼ人声のリアル感はない。 哺乳類である彼女たちをデジタルのかなたに追いやっていて、 彼女たちが本当に歌っているのか、彼女たちはそもそも実在するのかすら 曖昧になっている。すばらしい。歌詞がほとんどフラグメントでしかなくて メッセージ性がゼロに近いのもどんぴしゃりだ。
歌いだしの直前、息をすいこむブレス・ノイズだけ ノン・エフェクトでやけに生っぽいが、ここは中田ヤスタカのいたずら心だろうか。

きらめくハイパス気味な矩形波ベース、 ツボを押さえまくったメロディラインにコード進行。 ほぼスネアレスなリズムトラックだが、キメのブレイクに入る ローランドRシリーズ的なベタなスネアとタムは実に効果的だ。
そしてながいブリッジ部でヴォーカルのフレーズ・サンプリングで ぐいぐい押してくるところ、いまや日本ってアイドル歌謡で ここまでやっちゃって充分市場的に受け入れられるんだなと感心した。 いやー、いい時代になったものだ。ひとまわりしたのかな。 こりゃのんびりしているばあいじゃあないよ。
とにかく解析的に一日中こればかり聴いてしまった。 ベース・ライン一粒ずつ、 予定調和のツボと、反予定調和のグルーヴの組み合わせを、 作曲者と一緒になった気持ちで2時間ほど解析し、 こうだよな、そうだよな、と非常に満足した。こういうのがここまで気に入る曲って年に一回あるかないかだ。

というわけで、偽物感やきらめきが気持ちいいシンセポップやテクノが好きな人、 へたすると30〜40代のひとには、先入観は捨てておすすめ。
「ポリリズム」というタイトルも、プログレだのボーダレスミュージックだの 聴き込んだ「耳のうるさがた」に向けた釣りキーワードも意識しているかもしれない。 少なくとも僕は若干釣られた。ただし楽曲そのものは別に polyrhythm ではない (フレーズサンプリングで 3/4 と 4/4 が鳴っているぐらいのは別にポリリズムじゃないよね)
BugglesとかTELEXとか、The Human LeagueとかUnderworldとかSect Commune (笑) とか聴いていたかたにはぜひどうぞ。