2008/10/18: Quartz Composer Book / 鹿野 護
Mac OS X に標準添付の開発環境、に含まれている
Quartz Composer の解説書。
著者は未来派図画工作の中のひと
鹿野氏。
おそらく日本でのQC第一人者。というかほかにいるのかな。
アンドレ・ブルトン、マクルーハンといったひとびとの言葉を引用しつつ、 チュートリアル的にQCでどんなものが作れるかを解説していく、 とてもきれいな本。ちょっと高いかもしれないけど満足。 むしろ安っちい装丁のQC本など出たらそれはアートに対する冒涜だ。
内容は、僕にとってはそう新しい知見はなかった。
というか僕は未来派図画工作の作品を解析して
Quartz Composer に何ができるのかしらべて覚えていったので。
でも保存すべき記念品として一冊は所有すべき。
Quartz は, OS X の中でうごめく、グラフィックスの高機能処理レイヤ。
その仕組みを GUI であらわにし、いじれるようにしたものが
Quartz Composer.
たとえば静止画、動画、音声、MIDI, RSS といった入力を、画像フィルタや
動画フィルタ、演算モジュール、JavaScriptモジュールなど
いろんな処理要素でGUIでつなぎ、リアルタイム処理できる。
Yahoo Pipes
みたいな感じで編集といえばわかりやすいだろうか。
そしてそれをスクリーンセーバにできる。
あるいはiTunesのエフェクトに。
あるいはDVストリームに落としてビデオのノンリニア編集に立ち上げて。
あるいはクラブでライブパフォーマンスで映写して。
Quartz Composer 以前、1990年代前半ぐらいに、
Silicon Graphics Inc. のグラフィック・ワークステーションで、
僕はこういう3DCGのビジュアルプログラミング環境に出会ってはいる。
目の前で、フローチャートのごとく処理要素をGUIでならべて、
マウスで処理の流れをつないで、というインタフェースなんて、
生まれてはじめて見るもので、尻から鼻血がでるぐらい興奮したが、
とはいえ数千万以上ハードに積まないとまともに動かない代物だった。
ちなみに当時の僕の愛機 SGI IRIS Indigo XS24 は、R3000 33MHz で 16MB だった。
それでも割と上位機種だったので 24bit フレームバッファだったんだよ。
ハードウェアのテクスチャマッピング支援は無かったので、
カラーマップを貼付けるとほとんど固まってしまっていたが。
でもいまや、近くのヤマダ電気で何かマックを買ってくれば、
当時米国国防総省にSGIが納品していたクラスの3DCG表現環境が
手にはいるわけだ。
本書はおそらくQuartz Composerに関して日本語で書かれた唯一の本だろう。
で、自分勝手をいうと、あまりもうこういう本は増えてほしくない。
Quartz Composerというすばらしいものが
あまり広がってしまうと悔しいからだ。
森の中で魔法の石を見つけたことを独りじめしたい、
蜘蛛の糸にぶらさがるのはオレだけだ!
という、僕の心の非常な狭さである。
最近は、僕の飛び道具は、シンセや音符やエフェクタや作曲やDAWよりも、
むしろQuartz Composerだったりする。
というわけで、 音や画像、動画、アート、3DCGに興味のあるかたはぜひ一見の価値あり。 QCを知らないと、一刻一刻、人生を損しますよ。


