僕らのミライへ逆回転 (Be Kind Rewind)

冴えないレンタルビデオ屋。店長の留守を預かった店員 (Mos Def) に悪友 (Jack Black) がからみ、なんと店のビデオテープをうっかり全部消去してしまう。しかしさっさと「ゴーストバスターズ」を貸してくれと迫る来客。しょうがない、二人の奇策は、そのテープをビデオカメラに突っ込んで、即席で「ゴーストバスターズ、のようなもの」をぱぱっと撮ってごまかすことだった…

アイディア勝利のコメディ映画。ラッシュ・アワー2, 2001年宇宙の旅, ロボコップ, キングコング, ライオン・キングとかいろんなハリウッドのブロックバスターを、裏手の廃品処理場のゴミを使ってテキトーに撮りまくるのはとてもおかしい。
これらインチキ自作映画をJack Blackが「えっと、いや、これスウェーデンからの輸入版なんスよ」とごまかしていたのが発端で、スウェーデン製 = Swededという、超低予算テキトーリメイクごっこをSwededと呼んで一時期YouTubeで流行ったのも記憶に新しい。

いろいろあって、エンディングは甘くしんみりした感じ。ここで筋を切っているのも正解だ。とても映画らしい映画。映画すきなひとにはぜひおすすめ。

ジャック・ブラックは相変わらずの怪演でじつに素晴らしい。ここまでクドい演技がぴたりと毎回はまるのは、まさに「芸」なんだろう。

モス・デフも対照的におっとりした感じがよい。この人、DJ/ラッパーなのに、映画だと気の抜けたいい奴みたいな役が多くて面白いね。

監督はなんとミシェル・ゴンドリー。自他ともに認める凝ったPV職人みたいなイメージがあったけど、こういう人情コメディも撮れるひとだったとは。

最後に。これはもうみんな言っていることだけど、原題は Be Kind Rewind. 「(返却時は)巻き戻してネ」という、なるほどこういう言い回しになるのか、という、ビデオ世代へのオマージュも入った素敵で小粋な題名なのに、「僕らのミライへ逆回転」この邦題はない。なんとかしていただきたい。